末期がん患者様のお話
先日の出来事です。
40歳のお母さん。
病気が進んで歩けなくなっている状態。
いつも優しい旦那さんがお見舞いに来てくれていました。
緩和ケア病棟では、コロナ禍ではありますが、限られた時間面会が許されております。
ある日曜日、9歳のお兄ちゃんと5歳の妹の兄妹でお見舞いに来ました。お母さんと久しぶりにハグをしてもらおうと、ベッドをもう一つ並べて、ご家族の時間を楽しんでもらいました。
帰りに、子供達は、『ママとアイス食べたー』とキャッキャと静かにはしゃぎながら教えてくれました。
良かったねえ。お母さんも喜んでいるよー。とこちらも笑顔になりました。
次のに、お母さんは急変しました。
夫が来て実母もきました。
そして、お兄ちゃんはランドセルを背負って、妹は幼稚園カバンを持っておばあちゃんに連れられ到着しました。
表情は固まっていました。
病室に入ると、子供達は号泣。
その声がナースステーションまで響きわたりました。
一緒に病室に入っていた同僚からの話。
お母さんはまだ息はなんとか頑張ってしているぐらいの状態。
話も出来ないし、意識はない状態。
夫は泣きながら子供達に、『お母さんまだ聞こえてるから話してあげてー。』『昨日お母さん喜んでたよー。』と声をかけてあげていたそうです。
子供達は、嗚咽の合間に『お母さんありがとう。』と言ったそうです。
看護師も号泣しなが、えらいなー、頑張っていったねぇ。と頭を撫でるのが精一杯だったそうです。
この話はその後数分後に亡くなられたあとに聞きました。看護師達もみんな話を聞くだけで号泣。
こんな日は家に帰ってもたまらない気持ちが続きました。
数日後、夫が挨拶に来てくれました。
お葬式も無事終わり、子供達も学校と保育所に行き始めたそうです。
『ここに入院できて、落ち着いていたし、前の日には一緒にアイスも食べれたし、皆さんに親切にしていただいて本人も喜んでいました。大変なお仕事ですが、頑張って下さい。ありがとうございました。』とお辛い気持ちの中で、感謝の気持ちを伝えてくださいました。
また涙が止まらなくなってしまいました。
このお仕事は、人生最期の大切な時間を共に過ごさせていただいています。
それぞれご本人、ご家族は悲しく辛い思いをされています。
その中で少しでも悔いのないようにお手伝いできたらと常々一緒に考えています。
とても責任のある仕事だなぁと思いながらも、少しでも人のお役に立てれるよう今後も精進していきたいと思います。
しんどい事もあるけど、人のお役に立てられる喜びがあることを感謝します。